萩尾望都「バルバラ異界」

相変わらず、忘れたころにしか更新できない書庫ですが、たまには(?)マンガでも。。しかも、ちょっと前のやつ。



萩尾望都バルバラ異界」①~④完結(小学館、各税別505円)

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萩尾望都のマンガは昔の「11人いる!」とか「ポーの一族」、「トーマの心臓」あたりは読んでたけど、今回はものすごく久々に読んだ気がする。

2002年からフラワーコミックに連載されてて、一昨年完結した作品。

マンガながら、並み居る小説をおさえて、今年度のSF大賞を獲得してます。



西暦2052年、他人の夢に入り込むことができる夢先案内人の渡会時夫は、ある事件から7年間眠り続ける少女の夢の中を探ることになる。

そして、その夢の中で彼女が幸せに暮らす島「バルバラ」をキーワードに、様々な事実が浮かび上がってくる。。。


そして、過去と現在と未来、地球と火星、夢と現実、これらの狭間で関係者が揺れ動いていきます。



導入部分からして、かなりヤオイ的な雰囲気あるので、正直そのあたりは結構好みの分かれるところだと思います。

そこをクリアして、作品中の世界観にはまれるならば、相当楽しめるんじゃないでしょうか。

日渡早紀の「ボクの地球を守って」みたいなのを好きな人なら、たぶん大丈夫でしょう。


そして、ラストの巻は一気に畳み掛けるような展開。


途中で頭がこんがらがりそうになりつつも、いろんな謎が解き明かされていくようになってます。


ただし、ものすごく余韻を含んだ終わり方。


ラストはいいようのないせつなさがあるなぁ。



作者は元々SFは古典からハードなのまで相当読み込んでるみたいだし、作品自体のスケールも少女漫画の枠ではおさまりきらない感じですよね。

いろんな評論読んでも、比較される対象がレイ・ブラッドベリとかだし。



特に「ポーの一族」は名作でしょう。


永遠の時を生きるバンパネラ、時間という枷をはめられて生きていかなければいけない普通の人間達。

それぞれの無常観や悲哀みたいなものを、作中の様々なエピソードで文学的香気すらただよわせながら、美しく描写されてて。


作者がこれを描いてたのが20代半ばの時だなんて、「すごい」としか思えません。


この作品も大昔に読んだけど、愛蔵版を古本屋で見つけて、本棚に入れております。




あ、こんな記事書いてると、オタッキーだと思われちゃいそうw

・・・もうとっくに思われるかもしれませんが(^^;