なかなか記事を書いてない読書の書庫。
1年ほど前に出版された本だけど、久々なんで更新しちゃいます( ;^^)ヘ..
架空の動植物を媒介にして、生命と科学の本質に迫る短編集。
収録されてるのは
医学の素人が娘の癌を治すため、稀少海洋生物由来の架空の抗癌物質を求めようとする「希望ホヤ」。
ウランを含んだ土壌に生息する架空の新種植物を扱った表題作「冬至草」。
掌に月の残像が貼りついた男の話「月の・・・」。
「火の玉が見える」という症状の原因を追求する「デ・ムーア事件」。
終末医療・地方医療を扱った純文学的作品「目をとじるまでの短い間」。
実験データと科学的な真実の矛盾を描き出す「アブサルティに関する評伝」。
の6編。
SF的なアプローチでありながら、文学的な深みもたっぷり。
実際に作者は過去の作品で芥川賞候補にもなってるし、これに入ってる「目を閉じる・・」でも再度候補にもなってます。
彼の作品を読むのは今回がはじめてでしたが、どれも興味深く読めました。
ちなみに作者は東大医学部から付属病院勤務を経て、現在はテキサス大の癌センターで教鞭(助教授)をとってる超エリート。
専門家だけあって、医学や生物学への造詣の深さは一味違うし、それらが見事に文学と融合してるとこは
お見事というほかありません。
お見事というほかありません。
「アブサルディに関する評伝」なんかは「科学」とは何なのかを常に考えてるからこそ書くことのできる作品だと思います。
ちょっと学生時代の一般教養でとってた「科学史」の講義が思い出されました。。
文章も決してとっつきにくくはないし、本好きならSFとかにあまり興味ない人でも読めるんじゃないでしょうか。