歌野晶午「絶望ノート」

九州はとうとう梅雨入り。

自転車通勤の身にはつらい季節になっちゃいました。

6月っていやですよねぇ。

雨は多くてジメジメするし、祝日も一日もないし。

このところ大した仕事もしてないのに、うちで寝っころがって本を読んでる途中に電気をつけっぱなしでうとうとしてしまい、3時半とか中途半端な時間に明かりがまぶしくて一旦起きるという生活になってます。

これでは余計寝不足になって疲れがとれんよねぇ。

読んでるのは相変わらず時代小説やSFが多いけど、先日は久々にミステリーも買ってみました。


歌野晶午「絶望ノート」(幻冬舎刊 税別1600円)


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いじめに遭っている中学2年の太刀川照音は、その苦しみ、両親への不満を「絶望ノート」というタイトルの日記帳に書き連ねていた。

ある日、校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り、それを自分にとっての“神”だと信じ、オイネプギプト神と名づける。

エスカレートするいじめに耐えきれず、彼は自らの血をもって祈りを捧げ、いじめグループ中心人物、是永雄一郎の殺人を神に依頼してしまう。

すると、是永は校舎の屋上から転落死する。

照音はなおも日々の不安を日記帳に書きつけ神に祈り続けると、そこで名前を書き込まれた人物たちも次々と死んでいくことになり。。

歌野晶午の作品って「葉桜の季節に君を想うということ」以外はは可もなく不可もないってイメージで、このところの作品は全く読んでませんでしたが、これはインパクトのあるタイトルにひかれてなんとなく手にとってみました。

まぁ、あらすじ読めばわかると思いますが、大元のアイデアは「デスノート」からやろうねぇw

もちろんストーリーは全く違うけど、あれをモチーフにしつつ、作者なりにミステリー風に描いたらこうなるんでしょう。

小説の大部分をしめるのは照音が書き綴っていく日記で、そのいじめの部分の描写がかなり凄絶で、ドキドキしながら読み進むことはできました。

いじめられっこ特有の卑屈さみたいなのがにじみ出てて、共感はとてもできないんですけどね。。

リアルといえば、リアルなのかな?


謎解き部分はショッキングでしたが、大筋では割と前半から「こうじゃないかなぁ。。」と予想してたことでもあったので、自分としてはさほど驚きはなかったかな。

ラストまで読んでも、決して救いのある物語ではないし、後味もそんなによくなかったりします(^_^;)

でも、そのへんは多分にわざとホラーっぽい要素を持たせてるってことで、エンターテインメントとしてはアリだと思いました。


トータルとしてみると、年末のこの手の小説のランキングではベストテンに入るか入らないかってくらいの位置になりそう。

及第点をあげる人も酷評する人もいるってなるんじゃないかなぁ。

そのへんを割り切って読むならいいかも。