飯嶋和一「狗賓童子の島」

こんにちわ。

最近はコンビニで売っている生ハムの切り落としをつまみにビールを飲むのが好きなあややっくすです。

大体150-200円前後だけど、十分美味しいです。

さて、久しぶりに更新するのは読書ネタで。

飯嶋和一「狗賓童子の島」(小学館 税別2300円)


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弘化三年(1846)日本海に浮かぶ隠岐「島後」に、はるばる大坂から流された一人の少年がいた。西村常太郎、十五歳。大塩平八郎の挙兵に連座した父・履三郎の罪により、六つの年から九年に及ぶ親類預けの果ての「処罰」だった。

ところが案に相違して、島の人々は常太郎を温かく迎えた。大塩の乱に連座した父の名を、島の人々が敬意を込めて呼ぶのを常太郎は聞いた。

 翌年、十六歳になった常太郎は、狗賓が宿るという「御山」の千年杉へ初穂を捧げる役を、島の人々から命じられる。下界から見える大満寺山の先に「御山」はあったが、そこは狗賓に許された者しか踏み入ることができない聖域だった。

やがて常太郎は医術を学び、島に医師として深く根を下ろすが、徐々に島の外から重く暗い雲が忍び寄っていた。

飯嶋和一待望の新刊。

前にも「出星前夜」で記事にしたことのある作家ですが、歴史小説家としては現在最高峰の人だと思います。(断定)

全ての作品が読み応え十分。

ハードカバーで分厚いので値段もするけど、新刊出たら無条件で購入する作家です。

ただ、いかんせん寡作なもんで、今回も6年ぶりの新作ですがw

今までの作品がすべて書下ろしだったのに対し、今回は初めての連載ものの単行本化だったみたい。

それでも、連載終了してから2年半もたってから本になってるわけだから、だいぶ加筆修正あったのかなぁ。

今回はあらすじでも書いたように大塩平八郎の乱連座した西村履三郎の息子、常三郎が隠岐に流されてくるところから始まり、前半は彼が流人でありながら、医者として成長し、次々と襲い掛かる伝染病に対して奮闘する様子を。

そして、後半は明治元年に起こった隠岐騒動をメインに幕末から明治にかけての隠岐の島後の歴史それ自体をリアリティたっぷりに描き切っています。

誰か一人を主人公に置きながらも、重税に苦悩して立ち上がる市井の人々の描写が相変わらず精緻というしかない筆致で鮮やかに浮かび上がらせる手法は本当にこの作者の十八番だと思いました。

内容は決して軽くないし、歴史に興味ない人には濃厚すぎるかもしれないけど、毎度毎度、小説という形式ではありながら、ほぼ史実の核心をついているとしか思えない不思議な気持ちになります。

ほんと、この作者は歴史の研究者としてもやっていけるんじゃなかろうかと思っちゃいます。

新刊がなかなか出ないのも資料や史料を調べつくしているからだと納得できる完成度。

今回も読んだ自分が一つの歴史を体感できたような充足感を味わえました。

満足。



オマケでコンビニネタをもういっちょ。

最近お気に入りのコンビニアイス。

セブンイレブンで売ってる「金のアイス 生チョコバー」

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チョコもアイスも濃厚でめちゃウマイです。

暖房のよくきいた部屋で食べるのがたまらないでつ。。

見かけたら是非ご賞味あれ。