ケン・リュウ「蒲公英王朝記 巻ノ一 諸王の誉れ」

世間はゴールデンウィークですが、3~5日も全部仕事にしちゃいました。

どうせ他に予定もないしね。

ってことで、久しぶりに読書の書庫を更新。


ケン・リュウ「蒲公英王朝記 巻ノ一 諸王の誉れ」(早川書房


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七つの国々からなるダラ諸島では、統一戦争に勝利したザナ国が他の六カ国を支配し、皇帝マビデレが圧政を敷いていた。

喧嘩っ早いが陽気で誰からも愛される青年クニ・ガルは、日々気楽な暮らしを送りながらも、何か大きなことを成したいと夢見ていた。

いっぽう皇帝に一族を殺され、過酷な運命をたどってきた青年マタ・ジンドゥは、皇帝を手にかけるその日のため研鑚を積んでいた。

行く手に待ち受ける数多くの陰謀と困難を乗り越え、ふたりはともに帝国の打倒を目指す。

昨年、「紙の動物園」で一気にブレイクしたケン・リュウ異世界を舞台にした武侠小説の第一巻。

舞台設定はファンタジーだけど、元ネタはもろに史記の秦末の動乱~楚漢戦争。

作者が中国系アメリカ人ということもあり、史記にインスパイアされるのは理解できますが、ストーリーや人物造形だけでなく、細かいエピソードもほぼトレース。

マビデレは始皇帝、クニ・ガルは劉邦、マタ・ジンドゥは項羽そのものだし、脇役もちょっと詳しい人なら大体のモデルはすぐわかるでしょう。

正直、ここまで同じようなストーリーにするなら、わざわざ新たに小説にする意味あるの?って思いました。

アメリカあたりだと詳しい人も少ないかもしれないけど、日本人はこのあたりの時代は好きな人多いからここまで寄せちゃうとちょっと興ざめかも。

もちろん、ストーリー自体は面白いんですけどね。

ただ、これも「元のネタ自体が面白いんだから当たり前じゃん」って思ってしまうんですよねぇ。

まぁ、クニとマタの関係性なんかは劉邦項羽のそれとはちょっと違うので、今後どうなるかは気になるんですけどね。

次巻もすぐに出るみたいだし、また買って読むとは思います。