飛浩隆「自生の夢」

読書の書庫、あまり意識してなかったけど、最近SF系のでしか更新してない。。

とんがった設定のものの方が印象に残ってるからかなぁ。

というわけで、飛浩隆の久しぶりの新刊が出てたので、買ってみました。

飛浩隆「自生の夢」(河出書房)


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73人を言葉の力で死に追いやった稀代の殺人者が、怪物〈忌字禍(イマジカ)〉を滅ぼすために、いま召還される、表題作「自生の夢」

霧が晴れたとき、海岸に面した町が〈灰洋(うみ)〉となり、異形の事物は奏でられていく、「海の指」

宇宙空間からぽんと切り抜いたガラス板を買ってきた、「星窓 remixed version」

天才詩人アリス・ウォンの生み出したもの、遺したもの、「#銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻」

人類誕生以前に行われた犯罪、その結果、人類を殲滅させるに至った犯罪、「はるかな響き」

今世紀に発表された読切短編のすべてを収録

短編集なので、どれも読むのにさほど時間はかかりませんが、イマジネーションを刺激しつつ、はかなさ、残酷さ、そしてそれゆえの言葉の美しさを感じさせる作風はかわらない。

個人的には世界観に入りこめないものもあって、そういうのはやはり難解に感じてしまいました。

表題作とアリス・ウォンの関連の物語だけで一冊にした方がすっかりしただろうなとは思ってしまった。

読み手を選ぶ作家かもしれないけど、こういう物語を書ける作家は貴重な存在だとも思う。