伊東潤「城を噛ませた男」

すっかりご無沙汰気味の読書の書庫。

本自体は結構読んでるのですが、忙しかったり、記事を書くほどモチベーションをかきたてられるものがあまりなかったりで、ほったらかしになってました(^^;

というわけで、4ヶ月ぶりに書きますが、久しぶりの歴史物で。

伊東潤「城を噛ませた男」(光文社刊 税別1700円)


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久しぶりに更新するにしても、出版されたのが1年近く前の本ですが。。(^_^; アハハ…

戦国時代を舞台にした小説をよく書いている伊東潤の短編集。

時代物というより歴史小説ジャンルがほとんどみたいですが、手に取るのは初めてでした。

収録されているのは「見えすぎた物見」、「鯨のくる城」、「城を噛ませた男」、「椿の咲く寺」、「紅雪左文字」の5編。

どれも戦国中期から後期に関東地方に割拠した小大名や土豪に近い感じの領主の国が舞台で、北条や武田、上杉、織田、徳川らといった大大名にはさまれて苦労しながらもなんとか生き延びようとしてきた武将たちの姿が描かれています。

ちょっと司馬遼太郎の作風に似た雰囲気を感じましたが、大体の史実には沿いながらも司馬作品よりはフィクション多めかな。

表題作こそ真田昌幸を主人公にしてますが、あとは自分も知らないような人物がメイン。

ま、だから「城を噛ませた男」が表題作になったんでしょうが、真田太平記とかで思いいれがある自分にとってはちょっとフィクションすぎたように思えてしまいました。

よく知られている人物を主人公にしちゃうとこういう感想も出てきちゃうのはしょうがないんだろうけど。

どれも楽しめましたが、個人的には「見えすぎた物見」が一番完成度が高くて面白かったです。

この作家のほかの作品も読んでみようかと思います。