就寝前に布団の中で読書するのが自分にとってはスゴク貴重な時間だったりするのですが、布団の中が居心地よすぎて、いつの間にやら電気つけっぱなしで眠ってることがしょっちゅう・・・っつーか、ほとんど毎日。。
昨日は飲んで、午前2時過ぎにうちに帰ってきたのですが、とりあえず読もうと思ったら、いつの間にかウトウトして、気づいたら朝8時でした(^◇^
え~、とりあえず前回の読書ネタがマンガだったので、ちゃんと活字のも読んでるとこをみせておかないと。。(;^_^A アセアセ・・・
東野圭吾「使命と魂のリミット」(新潮社 税別1600円)
大好きな東野圭吾の新刊。
昨年まで週刊新潮に連載されてた作品です。
今回は医療物。
こういう専門知識が必要な分野でどういう風に作者がきれこんでいくのかなぁ、と思いながら読んでました。
心臓疾患の手術中になくなった父親の死の真相を知るため、医者の道を志して、当時の執刀医の下で研修医として働く、主人公の氷室夕紀。
また、別の思惑をもって、その病院を脅迫する男と彼を追う刑事。
この3者の視点で描かれていきます。
ミステリーの要素は少なくて、ほとんどサスペンスって感じです。
医療を扱ったこの手のは極端に希少例の難病をとりあげてケムにまかれそうになたりもするけど、そんなことはなく、正攻法で取り組んでる作品だと思います。
文章の読みやすさは相変わらず。
とっつきにくい世界かもしれないけど、ほんとにスーッと入っていけます。
ただ、彼のいつもの作品のようなアッと驚くような仕掛けはありませんでした。
このへんは次の作品に期待。
この書庫はだいたい新しく出た作品を中心に記事にしてるのですが(翻訳ものは除く)、この本が書かれたのは30年以上前。
歴史物や時代物は好きで、当然、司馬遼太郎の作品もかなり読んではいるけど、なにせ作品の数が膨大すぎて、読めてないのもあるわけで。。(^_^; アハハ…
未読だったこの作品も本屋で平積みになってたのを機会に、読んでみることにした次第。
内容はタイトルそのまま、平安初期に活躍した僧、空海の足跡を、彼がすごした空間を訪ねたり、残っている書簡をベースにたどってます。
彼の人生については書簡なども全て下書きがとってあったり、弟子が著作や言行をまとめた全集のようなものもあるので、かなり詳しくわかるらしい。
あくまで小説ではなく、空海の人となり、人生におけるそれぞれのタイミングで何を考えたのか、を作者なりの視点でそういったものから想像してみたって形になってます。
だから、こういうタイトルなわけです。
ただ、文中に「小説なら~と表現するだろう」みたいな文章もよく出てくるので、そのへんは小説家の視点も垣間見ることができます。
おそらく当時の東アジア世界においては国境とか仏教の枠を超える人物だけに、非常に読み応えありました。
多少の誇張はあるにせよ、知れば知るほど、「超人」とか「天才」としか思えない。。
語学ひとつとっても、留学前には唐語ペラペラ。
サンスクリットってめちゃ難解なはずなのに。
彼の書簡もたくさん文中に引用されてますが、現代人の自分が読んでもわかるほどの名文ばかり。
巧みな比喩表現を用いて、四六駢儷体の美しいリズムにのっとりつつ、要旨もわかりやすいし。
唐に留学してたときに現地の中にあっても評判になるのも納得。
天才性ということについては、日本史上においては信長と並ぶんじゃないでしょうか。
あちらは破滅型でちょっとタイプは違いますけどね。
自分の中では二人とも、その時代の中にあって、一人だけどっか全然別のとこからやってきたようなイメージあります。
そして、逆にものすごく人間くさいところもあり、そのへんも面白いです。
当時の朝廷や同時代の最澄への態度なんかは非常に辛らつな部分もあったりして、かなり傲慢。
つーか、自分の能力や業績に絶対の自信があって、プライドがめちゃ高かったのが伺えます。
作者の本領はおそらく幕末~明治にかけての小説が一番発揮されてると思うし、この時代を扱った小説は他にはあまりないと思うのですが、それでもすばらしい完成度。
この作品が連載されてたのが30年以上前で、作者も亡くなってちょうど10年たちますが、時がたっても、ほんとにいい作品というのは色褪せないもんですね。
司馬作品、どれが好きですか?
オススメあったら教えてください。