ジョージ・R・R・マーティン他「ハンターズ・ラン」

このところ、何気に読みたい新刊が出てて、ワールドカップの隙間をぬって読書に励んでます。

夜しか読まないから途中で睡魔に負けちゃうこともありますけどね(^_^; アハハ…


ジョージ・R・R・マーティン他「ハンターズ・ラン」(酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫)


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辺境の植民星サン・パウロで、探鉱師ラモンは、酒のうえの喧嘩でエウロパ大使を殺してしまい、大陸北部の人跡未踏の山間に逃げこむことになる。

しかし、そこでラモンは謎の異種属と遭遇し、つかまってしまう。

しかも、異種属のもとから脱走した人間を捕らえる手先になれと命令された。

異種属の一体、マネックに サハエルという"つなぎひも" でつながれ、猟犬の役をはたすことになったラモンの運命は…

ジョージ・R・R・マーティンの最新作。

といっても、ガードナー・ドゾワって人とダニエル・エイブラハムって人との共著です。

舞台は人類が異星人の科学の力を借りて、恒星間飛行による他惑星への殖民が可能になった未来の設定。

その割に宇宙飛行以外で登場するテクノロジーはそれほど未来的ではなかったりますw

しかし、それを補って余りあるストーリーテリングのうまさがありました。

未開の地を行くサバイバル小説としての要素、異種属とのファーストコンタクトものとしての要素、さらにラモンの自分探しというアイデンティティー探求ものとしての要素まで違和感なく入っていて、冒険SFのお手本のような構成。

特にラモンがマネックにつながれながら、マン・ハントのためのサバイバル生活を通じて彼(?)と交流していくあたりの描写からは面白くて、一気読みでした。

異種属との会話部分はさすがに日本語訳だとどこまでニュアンスが伝わってるのか??ですが、物語中にハードな理論も登場しないし、読みにくさはあまり感じなかったです。

設定はSFでもむしろ普通の冒険小説のよう。

また、そのSF的な設定が物語の中のそれぞれのテーマにしっかり生かされてるのがよかったです。

一つの作品でいろんな要素がバランスよく詰め込まれてて、いっぱいおかずの入ったお弁当を食べたときのようなお得感がありました。

今年の海外SF部門のランキングでは必ず上位ランクに入ってくるだろうし、普段あまりSFを読まない人でも楽しめる作品だと思います。

まぁミステリーと違ってSFのランキング本ってのはほとんどないんですけどね(^。^;)

同時期に出た東野圭吾の新刊「プラチナデータ」も購入しましたが、そちらよりも断然夢中になって読めました。

冒険ものがお好きな人ならSF苦手な人でも楽しめるんじゃないかなぁ。

オススメ。