小川一水「青い星まで飛んでいけ」

ちょっと読みたい本が立て続けに出てるので、珍しく間隔をつめて読書の書庫を更新。

まぁ、とはいえ2週間ぶりですが(^_^;)


小川一水「青い星まで飛んでいけ」(ハヤカワ文庫 税別740円)


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いろいろなSF雑誌に掲載された著者の短編集

太陽系惑星から遠く離れた彗星都市で暮らす少年・少女が閉鎖空間からの脱出を目指す、「彗星都市のサエ」。

"祈りの力で育つ"という触れ込みで流行した植物を巡る彼と彼女の一冬の物語、「グラスハートは割れないように」。

高度に進化した人類と、接触を基本とする異星種との交流もの、「静寂に満ちていく潮」。

人間の天職が見えるという異能の持ち主が遭遇する事件を描く、「占職術師の希望」。

演算された空間で生きる人類の未知との遭遇、「守るべき肌」。

かつて人類から“未知の探求”という使命を与えられたAIホモ・エクスプロルレスの悠久の旅路を追う、「青い星まで飛んでいけ」。

の6篇を収録

同じ雑誌に掲載されている短篇ばかりではないので、共通のテーマというのは特にないけど、全体的には未知なるものとの交流や接触、恋愛をとりまぜたファーストコンタクトものっぽいといえばぽいかも。

それぞれの短篇で読み手の好みによって当たり外れはあると思う。

個人的には少年少女のいじらしい努力が感じられるジュブナイル風味の「彗星都市のサエ」、今までの小説にないような超能力者(?)が主人公の「占職術師の希望」、遥か未来におけるファーストコンタクトに想いをはせることができた表題作「青い星まで飛んでいけ」の3つが好みでした。

特に表題作のスケールが圧倒的で、是非この設定で話を膨らませた長編を読んでみたいと思いました。

作者の長編では今年もまた「天冥の標」シリーズの続刊が何冊が出そうなので、そっちも楽しみ。