山本弘「トワイライト・テールズ」

サッカーはJリーグ終わって、クラブワールドカップやってますが、グランパスが優勝を逃して出場できなかったので、興味半減。

それでも、なんだかんだと観てますが、やっぱサントスやバルセロナが出てくるまでは盛り上がらないですね。

この週末、本を読むかDVDを観るかくらいするしかなかったので、珍しく立て続けに読書の書庫を更新。

山本弘「トワイライト・テールズ」(角川書店


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「MM9」シリーズ(記事にはしてない)のスピンオフ的な短編集。

街で怪獣に襲われ、女性自衛官と一緒にビルに閉じ込められてしまった引きこもりの少年の思いを描写した、「生と死のはざまで」。

怪獣が出るという伝説の湖のほとりで出会った少年少女の淡い恋の物語、「夏と少女と怪獣と」。

遥か彼方の惑星からやってきたという神様怪獣ゼオーと心に傷をもつ少女シリアムの交流を描く、「怪獣神様」。

アフリカの奥地へ極秘任務を果たすために訪れた男女とそこで出会った怪獣と共に暮らす少女マリオン。少女は彼らの任務を手伝うために現地を案内することになるが。。「怪獣無法地帯」。

の4編。

「MM9」からのスピンオフだけど、どの短篇も怪獣がメインというよりはその存在からつむぎ出される人間と人間、人間と怪獣の絆の物語になっていました。

そして、そこかしこに山本節ともいえるテイストは散りばめられています。

それぞれ「生と死のはざま」はいわゆるオタク的思考への、「夏と少女と怪獣と」や「怪獣神様」は大人社会への、「怪獣無法地帯」は現代文明への作者自身のアイロニーを感じさせつつ、人間らしさという問題ついても考えさせられるところは作者の面目躍如でしょう。

「怪獣無法地帯」に登場する少女マリオンは作者の「詩羽のいる街」に登場する詩羽のような雰囲気もあったかな。

ストーリー的にはどれもけれんみなくまとまっていて、読みやすかったですが、個人的には少年少女の恋が初々しく、ラストも爽やかな「夏と少女と怪獣と」が好みでした。

怪獣ものといっても、ジュブナイルに近いほんわか系の読みやすさなので、SF苦手な女性とかでも全然読めると思います。