東野圭吾「祈りの幕が下りる時」

久しぶりの読書の書庫更新。

東野圭吾祈りの幕が下りる時」(講談社 税別1700円)


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滋賀県在住の押谷直子という女性が、東京の葛飾区小菅という町にあるアパートで殺害された。

さらに、そのアパートの住人・越川睦夫も行方不明である。押谷直子と越川睦夫の接点はまったく見当たらない。

捜査をすすめていく上で、直子は幼馴染の演出家・角倉博美を訪ねて上京してきたことが判明。

過去にひょんなことから博美と接点のあった日本橋署の加賀恭一郎は従弟の捜査一課の刑事・松宮とともに捜査に加わることになる…。

加賀恭一郎シリーズの最新作。

この出版不況にあって、初版発行部数20万部だそうで。。

まぁ、面白いですからねぇ。

つっこんだ感想を書こうと思ったら、ネタバレになるので書きにくいのですが、ストーリーが進むにつれ、微妙にもつれた様々な人間関係を一本ずつ解きほぐしていく語り口が見事でした。

グイグイと物語に引き込んでいくリーダビリティは相変わらず天下一品。

読んでいてどこかデジャブを感じるのは作者の過去の作品のいろんな要素が織り交ざっているからだと思うけど、それは決して悪い意味ではなく、十分な読み応えへと昇華されていました。

いろいろな意味で人情派になった「砂の器」っぽいイメージかなぁ。

謎解きだけでなく、人間の業のようなものまで含まれていて(その部分はあまり濃くはないけど)、内容的にも今までの加賀シリーズの総決算的な作品だったと思います。