春日太一「なぜ時代劇は滅びるのか」

あけましておめでとうございます。

とはいえ、年末は10連勤で年明けも完全に寝正月でこれといった話題がないので、新年一発目は読書の記事で。

春日太一「なぜ時代劇は滅びるのか」(新潮新書


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以前、「天才 勝新太郎」の記事でも紹介した著者の本。

今や時代劇研究家の第一人者といってもいい著者が民放でレギュラー時代劇がなくなった今、その理由を複合的な視点で語っています。

いわく、高齢者向けで古臭い」という固定観念、「自然体」しか演じられない役者、「火野正平(=いい脇役・悪役)」の不在、マンネリ演出を打破できない監督、何もかも説明してしまう饒舌な脚本、朝ドラ化するNHK大河ドラマなど、時代劇ファンとしては読んでいて共感することが非常に多かったです。

特に「自然体」を言い訳に時代劇の所作ができていない現代の多くの俳優に対しては、たとえどんなベテランに対してだろうと、個人名をあげてまで批評しているところは著者の覚悟を感じたし、なかなか痛快。

殺陣をうまく演じれる俳優なんて今では数えるほどしかいないことは素人目にみてもわかりますからね。

また、目先の視聴率を追うあまりにロクに芝居のできない人気があるだけの若手俳優を起用して、ありえないシーン連発だった大河ドラマへの批判なども「うんうん」とうなづきながら読んでました。

もちろん時代劇への深い造詣と復活への願いがあるからこそここまで書ききれるんだろうなということも感じ取れます。

ほんとに映画でもテレビでもいいので、いい時代劇もっとみたいなぁ。

時代劇ファンなら読むべし!