中山七里「ドクター・デスの遺産」

久しぶりの読書の書庫を更新。

中山七里「ドクター・デスの遺産」(角川書店


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警視庁にひとりの少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。

当初はいたずら電話かと思われたが、捜査一課の高千穂明日香は少年の声からその真剣さを感じ取り、犬養隼人刑事とともに少年の自宅を訪ねる。

すると、少年の父親の通夜が行われていた。少年に事情を聞くと、見知らぬ医者と思われる男がやってきて父親に注射を打ったという。

日本では認められていない安楽死を請け負う医師の存在が浮上するが、少年の母親はそれを断固否定した。

次第に少年と母親の発言の食い違いが明らかになる。そんななか、同じような第二の事件が起こる――。

安楽死がテーマのミステリ小説ということで面白そうだと思い、購入ましたが、シリーズものだったとは知らなかった。。_| ̄|○

まあ、前のシリーズを知らなくても全然違和感なく読めたのは幸いでした。

尊厳死安楽死森鴎外の「高瀬舟」でもテーマにされている題材なのですが、こういう問題って、人それぞれの思想によって考え方も違うだろうし、万人に正解と思わせるような答えってないですよね。

ヨーロッパでは法律上認められているところもあるけど、日本の場合はまだまだでしょう。

個人的には壮絶な苦痛が延々と続いて完治する見込みがないなら、早く楽にしてほしいと思うだろうな。

もっとも、実際にそういったシチュエーションになってみないとわからないけど。

当事者に依頼されて苦痛なく死に導いた人間に罪を問うのかどうなのかは難しいところでしょうね。

判例では有罪だけど執行猶予ついてるし。

ミステリとしてはオーソドックスな流れだったけど、別にそれが悪いとか面白くないとかではなく、普通に楽しめました。

真犯人はミステリ読み慣れている人にはなんとなく分かるかもしれないけど、最近この手のをあまり読んでいなかった自分には忘れていたタイプのトリックでした。

終末医療尊厳死に興味ある人なら読んでみていいんじゃないでしょうか。